FRB:二つの目標と政策手段

米国の中央銀行である連邦準備制度(FRB)は、最大雇用と物価の安定(個人消費支出物価で年2%)という二つの目標を持っています。物価が目標より高ければ金利を上げて景気を冷まし、雇用が弱まれば金利を下げて景気を支えます。

経済指標が株価に届く道

  1. 経済指標CPI・雇用・GDP
  2. 金利の期待FRBの次の行動の予想
  3. 国債利回り2年債・10年債
  4. 割引率・利益見通しバリュエーションの変化
  5. 株価成長株がより敏感

国債利回りとイールドカーブ

米国債の利回りは世界中の資産価格の基準です。2年債はこの先2年の政策金利の期待を、10年債は長期の成長・物価の期待とリスクプレミアムをより多く反映します。

イールドカーブ:ふつうの形と逆転した形(例)

ふつうは満期が長いほど利回りが高くなります(右肩上がり)。短期金利が長期より高くなる逆イールドは過去の景気後退の前によく現れましたが、時期と精度は一定ではありません。

指標が金利の期待を変える経路

経済指標が株式に影響を与える道は、たいてい「指標 → FRBの次の行動の期待 → 国債利回り → 株式の割引率・景気見通し」です。

指標予想より高く出たときのよくある解釈
CPI・PCE物価利下げが遅れるかもしれない → 金利上昇 → 株式の重荷
雇用統計(非農業部門雇用者数)景気が強い。ただし物価が心配な時期には金利上昇で重荷になることも
賃金上昇率サービス物価の圧力 → 金利上昇の方向
GDP・小売売上高成長が強い → 利益見通しにプラス、金利には上昇圧力

ドルとウォン建て投資家の為替効果

ウォンで米国株に投資すると、リターンに為替が掛け算されます。ウォン建てリターン =(1 + 株価のリターン)×(1 + 為替の変化率)− 1。

米国企業の立場でもドルが強いと、海外売上をドルに換えたときに減るため、海外売上の比重が大きいビッグテックの業績の重荷になります。決算発表で「為替の影響を除いた成長率」を別に示す理由です。

米国株が下がっても為替がクッションになる場合(例)

ドル建ての株価−10%
ウォン・ドルレート+8%

ウォン安(ドル高)

ウォンで見た自分のリターン約−2.8%

0.90 × 1.08 − 1

時価総額加重指数と集中

S&P 500とナスダック100は、時価総額(浮動株ベース)の大きい銘柄ほど比率が大きくなる時価総額加重指数です。最近は上位10銘柄前後の大型ハイテク株がS&P 500の3分の1以上を占めるほど集中が大きくなりました。

時価総額加重指数の集中(例、時期によって異なる)

S&P 500は約500銘柄からなりますが、上位10銘柄前後の大型ハイテク株が3分の1以上を占める時期があります。

満期日・リバランスのような需給の日程

1日のニュースを読む地図

  1. 金利:2年債・10年債の利回りはどう動いたか?理由は指標か、FRBの発言か?
  2. ドル:ドル指数とウォン・ドルレートは?自分のウォン建てリターンにどんな影響があるか?
  3. 指数と幅:指数全体が動いたのか、一部の大型株だけが動いたのか?
  4. セクター:金利に敏感なセクター(ハイテク・不動産)と景気に敏感なセクター(資本財・素材)はどう分かれたか?
  5. ボラティリティ:VIXが大きく動いたか?市場がこの先大きな動きを予想しているかを示します(13章)。
  6. 個別の話題:決算・ガイダンス・規制のニュースはあったか?

利益予想と決算シーズンのリズム

長い目で見ると、株価指数は企業の利益についていきます。指数全体の利益予想(例:S&P 500の今後12か月のEPS)と、その予想に付く倍率(予想PER)に指数を分けてみると、市場の動きが「利益のせいか、倍率のせいか」を区別できます(7章のリレーティング)。

原油・商品とセクター

原油価格は物価と消費、そしてエネルギーセクターの利益に一緒に影響します。原油が上がるとエネルギー企業の利益は増えますが、航空・運輸のコストと消費者の実質購買力には重荷となり、物価指標を通じて金利の期待にも影響します。

変数が上がるとき相対的に有利な側(よくある解釈)重荷になる側
原油エネルギー生産航空・運輸・消費財、物価 → 金利
長期金利銀行(利ざや)、一部のバリュー株成長株、不動産・公益事業のような高配当セクター
ドル輸入の比重が大きい米国内需企業海外売上の比重が大きい多国籍企業
銅などの産業用商品商品の生産企業原価の比重が大きい製造業

こうした関係は傾向にすぎず、いつも当てはまるわけではありません。同じ原油の上昇でも、需要が強いからなのか(景気の好調)、供給の混乱のせいなのか(コストショック)によって、市場全体の反応が正反対になることもあります。

この章は2026年10月時点の内容です。取引制度・税率・手数料は変わることがあるため、実際の取引や申告の前には取引所・税務当局・証券会社の案内を直接確認してください。「要確認」と記した部分は特に変わる可能性があります。この文章は学習資料であり、特定の銘柄や売買を勧めるものではありません。

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