開示はなぜ最も重要な情報なのか
ニュース、コミュニティ、証券会社のレポートは、どれも誰かが一度解釈した情報です。開示(公示)は会社が法律に従って自ら出す一次情報で、間違えたり漏らしたりすれば会社と役員が責任を負います。韓国の上場会社の開示は、金融監督院の電子公示システム(DART)と取引所の開示システム(KIND)で誰でも見られます。
重要な情報は開示より先に市場に広まってはいけません。開示前に知った未公開の重要情報で取引するのは違法(インサイダー取引)で、会社が特定の人にだけ情報を先に渡すことも禁止されています(フェア・ディスクロージャー制度)。
開示の種類と期限
| 種類 | 内容 | いつ |
|---|---|---|
| 定期開示 | 事業報告書(1年)、半期・四半期報告書 | 事業報告書は事業年度終了後90日、半期・四半期は45日以内 |
| 主要事項報告書 | 有償増資、転換社債の発行、合併・分割、営業の譲渡・譲受、自社株取得など | 事由が生じた翌日まで |
| 取引所の適時開示 | 単一販売・供給契約、筆頭株主の変更、訴訟、生産中断など | たいてい当日か翌日 |
| 公正開示 | 速報業績、見通し、会社説明会(IR)の内容 | 外部に知らせる前または同時 |
| 照会開示 | うわさ・報道・急騰落について取引所が事実かどうかを問う | 求められた期限内に回答 |
| 持ち分開示 | 5%以上の大量保有、役員・主要株主の保有の変動 | ふつう5営業日以内 |
速報業績の開示を読む
四半期が終わると、会社は正式な四半期報告書より先に営業(暫定)実績を公正開示で出します。ここで見るべきは数字の大きさより何と比べるかです。
- 前年同期比(YoY):季節性を取り除いた比較。ほとんどの業種で最も重要です。
- 前四半期比(QoQ):トレンドが折れるかを見るときに使います。季節性の大きい業種は解釈に注意。
- 市場予想(コンセンサス)比:株価は業績そのものより予想との差に反応します。過去最高益でも株価が下がる理由です。
- 売上と利益の方向:売上は増えたのに営業利益率が下がったなら、原価・販売費の負担が大きくなったということです。
業績は何と比べるかで違って見える(例)
主要事項報告書:増資・転換社債・合併
有償増資の開示で見るもの
- 割当の方式:株主割当・一般公募・第三者割当。第三者割当なら誰が買うのかが核心です。
- 発行価格と割引率:時価よりどれだけ安く発行するか。割引率が大きいほど既存株主の損が大きくなります。
- 資金の使い道:設備投資・運転資金・債務返済・他社の買収。「債務返済」ばかりが繰り返されるなら、財務が苦しいサインかもしれません。
- 新たに増える株式数の比率:既存の株式の何%にあたるかを計算してみます。
転換社債(CB)・新株引受権付社債(BW)の開示で見るもの
- 転換価額と転換価額の調整(リフィキシング)の条件 — 株価が下がると転換価額がどこまで下がりうるか
- 転換請求の開始日 — この日以降、株が市場に出てくる可能性があります
- 期限前償還請求権(プットオプション)と買取選択権(コールオプション) — コールオプションを筆頭株主が持つ構造か
- すでに発行されたCB・BWの未転換残高 — 積み上がった潜在的な株数
合併・分割の開示で見るもの
合併比率がどう決まったか(上場会社は法律で定めた時価基準)、反対する株主が会社に株の買い取りを求められる株式買取請求権の価格と期間、分割なら人的分割か物的分割か(1章)を確認します。
有償増資の開示を読む順序
- 1割当の方式株主割当・一般公募・第三者割当
- 2割引率時価よりどれだけ安く?
- 3資金の使い道投資か、借金返済か
- 4増える株式既存株式の何%?
持ち分の開示:5%報告とインサイダーの売買
- 大量保有報告(5%ルール):一つの会社の株を5%以上持つようになったら報告しなければならず、その後1%以上変わるたびに再び報告します。保有目的が「経営参加」か「単純投資」かも書きます。アクティビストファンドの登場や筆頭株主の持ち分の変化はここでわかります。
- 役員・主要株主の保有状況報告:役員と10%以上の主要株主は、株を売買すると報告しなければなりません。インサイダーが何人もそろって買う場合と売る場合では意味が違いますが、税金・ローン返済のような個人的事情による売却も多いため、決めつけは禁物です。
- 筆頭株主の株式担保ローン:筆頭株主が株を担保にお金を借りたという開示があれば、株価が大きく下がったときに担保処分(反対売買)で持ち分が市場に出るリスクがあります。
監査意見と継続企業の不確実性
外部の監査人が事業報告書の財務諸表に出す意見は四つです。
| 監査意見 | 意味 | 上場への影響(要約) |
|---|---|---|
| 適正 | 財務諸表が会計基準に沿って作成されている | 正常 |
| 限定 | 一部の項目に問題がある、または確認できなかった | KOSPIは管理銘柄に指定、KOSDAQは上場廃止の事由になりうる(改善期間が与えられることも) |
| 不適正 | 財務諸表が全体的にゆがんでいる | 上場廃止の事由 |
| 意見不表明 | 監査そのものができなかった | 上場廃止の事由 |
開示を読む順序
- 最近1〜2年の開示一覧をざっと見て、有償増資・CB発行・筆頭株主の変更・訴訟が繰り返されていないかを見ます。一覧だけでも会社の性格がかなりわかります。
- 事業報告書の「事業の内容」で、会社が何で稼いでいるか、主な顧客と原材料、競争状況を読みます。
- 財務諸表と注記で売上・利益・キャッシュフロー、借入金の満期、関連当事者との取引を見ます(6章)。
- 持ち分の構造(筆頭株主・5%株主・自社株)と配当方針を確認します。
- 訂正開示があれば何が変わったかを比べます。数字がよく訂正される会社は、内部管理が弱いサインかもしれません。
開示を読む順序をひと目で
- 最近の開示一覧増資・CB・訴訟の繰り返し?
- 事業の内容何で稼いでいるか
- 財務諸表・注記キャッシュフロー・借入金
- 持ち分の構造筆頭株主・自社株
- 訂正開示何が変わったか
証券会社のレポートとコンセンサスの読み方
証券会社のアナリストレポートは、開示を解釈した二次資料です。産業の構造、競合比較、業績予想のモデルが入っていて勉強に大いに役立ちますが、いくつか知ったうえで読む必要があります。
- 投資判断の分布:韓国のレポートには「売り」判断がとても少ないです。判断より、目標株価が下がったか、業績予想が変わったかのほうが多くの情報をくれます。
- 予想の変化(リビジョン):複数の証券会社がそろって利益予想を上げたり下げたりする流れは、株価と一緒に動くことが多いです。コンセンサスの数字一つより、ここ数週間の変化の方向を見ます。
- 前提の確認:目標株価は「予想利益 × 目標倍率」で決まることが多いです。どの利益(今年・来年)、どの倍率(過去平均・競合)を使ったかを見れば、根拠の強さがわかります。
- カバレッジの空白:小型株はレポートがないか古いことが多く、コンセンサス自体に意味がないこともあります。
自社株・配当の開示で見るもの
株主還元の開示は「いくら」より「どのように」が重要です。
| 開示 | 確認すること |
|---|---|
| 自社株取得の決定 | 直接買付か信託契約か、取得期間、消却計画の有無。信託契約は実際の買付規模が開示額より小さいことがある |
| 自社株消却の決定 | 消却する株式数と発行株式に対する比率。消却してこそ残った株主の持ち分が確実に増える |
| 自社株処分の決定 | 誰に、いくらで売るのか。役職員への報酬・交換社債の発行に使われれば実質的に希薄化 |
| 現金配当の決定 | 1株当たり配当、配当基準日、配当性向(純利益に対する配当)、四半期配当の有無 |
株主還元利回り5%の内訳(例)
- 配当300億 60%
- 自社株消却200億 40%