家を買うときに最初にかかるお金
- 頭金(down payment): 通常は価格の3〜20%です。一般ローンで20%未満だとPMIがかかり、頭金が多いほど月々の負担は減ります。
- 諸費用(closing costs): ローン手数料、鑑定・住宅検査、権原(title)保険、登記費用、前払い利息やエスクローの積立などです。借入額の2〜5%程度が多く、地域による差が大きいです。
- 仲介手数料: 慣行上は売り手が払ってきましたが、2024年8月の全米不動産業者協会(NAR)の和解以降、買い手も物件を見学する前に自分の仲介業者と書面契約を結び、報酬を取り決めることになりました。手数料率は決まっておらず交渉で決まります。
- 引っ越しと初期費用: 家具、修繕、公共料金の保証金などは別に用意します。
家を所有している間にかかるお金
- 固定資産税(property tax): 郡や市などの地方政府が毎年評価額に課税します。実効税率は年0.3%前後から2%を超える地域まで、場所によって大きく異なります。
- 住宅保険(homeowners insurance): ローンを組むと事実上必須です。洪水・地震は別の保険で、フロリダやカリフォルニアなど災害リスクの高い州では近年保険料が大きく上がっています。
- HOA管理費: コンドミニアム、タウンハウス、計画住宅地の管理組合費で、月数十〜数百ドルです。大規模修繕が必要になると特別徴収金がかかることがあります。
- 維持・修繕費: 屋根、空調設備、家電の交換など。住宅価格の年1〜2%を見込むという目安がよく使われます。
- 売るときの費用: 仲介手数料や譲渡費用で売却価格の数%がかかります。直近5年のうち2年以上所有して住んだ自宅なら、譲渡益25万ドル(夫婦合算50万ドル)まで非課税です。
比較例:40万ドルの家と月2,200ドルの賃貸
以下の数字はすべて説明用の仮定です。住宅価格40万ドル、頭金20%、諸費用1万2,000ドル、30年固定6.5%、固定資産税年1.1%、住宅保険年1,800ドル、維持費年1%、同程度の家の家賃月2,200ドル、初期資金を別に置いた場合の仮定利回り年4%。実際の金利・税金・相場は地域と時期によって異なります。
この例では、1年目の月の実質コストは購入のほうが約660ドル高くなります。この差を埋めるのは、住宅価格の上昇、年々大きくなる元金返済分、そして変わらない元利返済額です(家賃は毎年上がることがあります)。そのため同じ家に長く住むほど購入が有利になる傾向があり、数年以内に引っ越す予定なら売買の費用のために不利になりがちです。
| 項目(例) | 購入 | 賃貸 |
|---|---|---|
| 最初に必要なお金 | 92,000ドル(頭金80,000+諸費用12,000) | 4,400ドル(初月家賃+敷金1か月) |
| 月の元利返済/家賃 | 2,023ドル | 2,200ドル |
| 固定資産税(月) | 367ドル | なし(家賃に含まれる) |
| 住宅保険/借家人保険(月) | 150ドル | 20ドル |
| 維持・修繕費(月) | 333ドル | なし |
| 月の現金支出の合計 | 2,873ドル | 2,220ドル |
| 1年目の元金返済(資産として残る) | 月約298ドル | なし |
| 初期資金の機会費用(年4%と仮定) | 月約307ドル | なし |
| 月の実質コスト(現金支出−元金返済+機会費用) | 約2,882ドル | 約2,220ドル |
例示データ。住宅価格の変動、住宅ローン利息控除、売却時の費用は含めていません。住宅価格が年3%上がれば1年目に約1万2,000ドル(月1,000ドル)の評価益が出ますが、下がることもあります。
価格対家賃比率と機会費用
似た家の売買価格と1年分の家賃を比べる大まかな指標です。15以下なら購入、21以上なら賃貸が相対的に有利な市場で、その間は判断が分かれる範囲という目安がよく使われます。ただし金利水準や固定資産税率、保険料によって基準は大きく動くため、上のような項目別の計算も合わせて見るほうが正確です。
機会費用とは、頭金と諸費用を家に固定しなければ得られたかもしれない収益です。仮定する利回りによって結果は大きく変わり、その収益は保証されていない点も考慮する必要があります。一方で、持ち家には元金返済による強制貯蓄や住まいの安定といった、お金以外の要素もあります。
価格対家賃比率 = 住宅価格 ÷ (月の家賃 × 12) 例)400,000 ÷ (2,200 × 12) = 約15.2
賃貸契約の基本
- 賃貸契約(lease): 通常は12か月契約で、終了時に更新するか月単位(month-to-month)の契約に切り替わります。中途解約すると違約金や、次の借り手が見つかるまでの家賃の負担が生じることがあるため、早期解約条項を確認します。
- 入居審査: 信用調査、収入(家賃の約3倍が多く、ニューヨーク市では年収が月額家賃の40倍という慣行)、以前の家主の推薦を確認します。米国の信用履歴がない外国人は、保証人や保証会社を求められることもあります。
- 敷金(security deposit): 州法で上限を定めているところが多いです。ニューヨーク州は家賃1か月分、カリフォルニアは2024年7月から原則1か月分(小規模な個人家主は2か月分)で、テキサスのように上限のない州もあります。返還期限(カリフォルニア21日、ニューヨーク14日など)と控除明細も州法で定められています。
- 借家人保険(renters insurance): 家主の保険は建物しか守らないため、自分の家財と賠償責任は借家人保険で備えます。賃貸契約で加入を求められることが多いです。
- 仲介手数料(broker fee): ニューヨーク市はFARE Act(2025年6月11日施行)により、家主が雇った仲介業者の手数料を借り手に負担させることを禁止しました。借り手が自分で雇った仲介業者の手数料は借り手が払います。ほかの地域は慣行がさまざまです。
借り手を守る制度
連邦の公正住宅法(Fair Housing Act)は、人種・肌の色・出身国・宗教・性別・障害・家族形態(子どもの有無)を理由に賃貸を拒んだり条件を変えたりすることを禁じており、違反はHUDに申し立てられます。ほとんどの州は、家主が暖房・水・安全など人が住める状態を保つ義務(居住適合性の保証)を認めています。
家主は裁判手続きを経ずに鍵を替えたり荷物を出したりして借り手を追い出すことはできず、立ち退き(eviction)には裁判所の判決が必要です。通知期間と手続きは州によって異なります。
家賃の値上げ制限も州や都市によって違います。カリフォルニアは築15年を超える集合住宅などに年5%+物価上昇率(最大10%)、オレゴンは年7%+物価上昇率(最大10%)の上限を設けています。ニューヨーク市の家賃安定化(rent stabilized)アパートは、委員会が定めた率でしか値上げできません。多くの州には上限がなく、更新時に相場で決まります。
よくある質問
家賃は収入の何%が目安ですか?
HUDは住居費が収入の30%を超える世帯を「住居費負担世帯」とみなします。入居審査では家賃の約3倍の収入を求めるところが多いです。
家賃をきちんと払うと信用スコアに反映されますか?
基本的には反映されませんが、家主や家賃報告サービスを通じて信用情報機関に報告してもらえる場合があります。逆に滞納した家賃が債権回収に回ると、信用スコアに不利に反映されます。
敷金が返ってこないときはどうすればいいですか?
州法の期限内に控除明細もなく返還されない場合は、少額裁判(small claims court)に請求でき、州によっては敷金の数倍の賠償を命じることもあります。入居時と退去時に写真を残しておくと争いを減らせます。