総合所得と課税所得
中国の居住者(中国に住所がある人、または1年に183日以上滞在した人)は、次の4種類の所得を1年単位で合算し「総合所得」として納税します。
課税所得 = 年間総合所得 − 60,000元(基礎控除) − 専項控除(五険一金の個人負担分) − 専項付加控除 − その他の控除(個人年金など) 税額 = 課税所得 × 税率 − 速算控除額
- 賃金・給与(工資薪金): 月給、賞与、手当など会社から受け取るもの
- 労務報酬: 講演・コンサルティング・デザインなど単発の役務の対価。収入の80%を所得とみなします。
- 原稿料(稿酬): 出版の原稿料。収入の80%のさらに70%を所得とみなします。
- 特許権使用料: 特許・著作権などの使用料。収入の80%を所得とみなします。
総合所得の税率表(年間)
| 年間課税所得 | 税率 | 速算控除額 |
|---|---|---|
| 36,000元以下 | 3% | 0 |
| 36,000超〜144,000元 | 10% | 2,520 |
| 144,000超〜300,000元 | 20% | 16,920 |
| 300,000超〜420,000元 | 25% | 31,920 |
| 420,000超〜660,000元 | 30% | 52,920 |
| 660,000超〜960,000元 | 35% | 85,920 |
| 960,000元超 | 45% | 181,920 |
2018年改正(2019年1月施行)「個人所得税法」の税率表で、2026年も同じです。
7つの専項付加控除
控除は「個人所得税」アプリで届け出ると、会社が毎月の源泉徴収に反映します。毎年12月に翌年分の控除情報を確認(確認手続き)しないと引き継がれません。
| 項目 | 控除額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 3歳未満の乳幼児の養育 | 子ども1人につき月2,000元 | 父母の一方が全額、または各半分 |
| 子女教育 | 子ども1人につき月2,000元 | 満3歳から博士課程まで、分け方は同上 |
| 継続教育 | 学位課程は月400元(最長48か月)、資格は取得した年に3,600元 | 国内の学位・職業資格 |
| 重大疾病の医療費 | 自己負担が年15,000元を超える部分、最大80,000元 | 年度確定申告で控除 |
| 住宅ローン利息 | 月1,000元(最長240か月) | 本人・配偶者の初めての住宅ローン |
| 住宅家賃 | 月1,500 / 1,100 / 800元 | 勤務都市に持ち家がない場合、ローン利息控除と併用不可 |
| 高齢者の扶養 | 一人っ子は月3,000元、兄弟姉妹は分担し1人最大1,500元 | 60歳以上の父母など |
乳幼児の養育・子女教育・高齢者の扶養は2023年1月から引き上げられた額(国発〔2023〕13号)、その他は国発〔2018〕41号の基準で、2026年も同額です。家賃は直轄市・省都など1,500元、市轄区の戸籍人口100万人超の都市1,100元、それ以外800元です。
累計源泉徴収 — なぜ年末に向けて税金が増えるのか
会社は毎月「その年の1月から今月まで」の累計所得に年間税率表を当てはめて税額を求め、既に徴収した税金を差し引いて今月の税額を決めます(累計預扣法)。累計所得が税率の区分を超えた月から月々の税金が急に増えるのはこのためです。
今月の源泉徴収額 = (累計課税所得 × 税率 − 速算控除額) − 既徴収税額 累計課税所得 = 累計所得 − 5,000 × 月数 − 累計専項控除 − 累計専項付加控除
| 月 | 累計課税所得 | 累計税額 | その月の税額 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 9,000 | 270 | 270 |
| 4月 | 36,000 | 1,080 | 270 |
| 5月 | 45,000 | 1,980 | 900 |
| 12月 | 108,000 | 8,280 | 900 |
例:月給20,000元、五険一金の個人負担4,000元、子ども1人の控除2,000元なら、毎月の課税所得は9,000元です。累計が36,000元を超える5月から税率が3%から10%に上がり、月の税額が270元から900元になります。年間合計8,280元は年間税率表で直接計算した値と同じです。
年度確定申告(年度汇算)— 3月1日〜6月30日
2社から同時に給与を受け取ったり、年内に転職したりすると、各社が月5,000元の基礎控除を適用して少なめに徴収することがあり、精算時に追加納付が生じやすくなります。
- 期間: 翌年3月1日から6月30日までに前年の所得を精算します。2025年の所得は2026年3月1日〜6月30日に精算し、3月1〜20日に行う場合はアプリでの事前予約が必要でした。
- 方法: 「個人所得税」アプリまたは自然人電子税務局のウェブサイトで、会社が申告した所得があらかじめ入力された申告書を確認して提出します。会社に委託したり、税務署の窓口で行うこともできます。
- 申告が必要な人: 還付を受けたい人、および年間総合所得が12万元を超え、追加納付額が400元を超える人です。
- 申告しなくてよい場合: 年間総合所得12万元以下で追加納付が生じた場合と追加納付額が400元以下の場合(2024〜2027年の所得に適用、財政部・税務総局公告2023年第32号、会社が源泉徴収を適切に行わなかった場合を除く)、そして予納額と実際の税額が同じ場合、還付を放棄する場合です。
- 還付がよく生じるケース: 年の途中の退職・転職で数か月所得がなかったとき、重大疾病の医療費のように精算時だけ入れる控除があるとき、労務報酬が高い税率で源泉徴収されたとき、控除の届け出を忘れたときです。
年末賞与の分離課税と外国人の特例
年末賞与などの「年間一時賞与(全年一次性奖金)」は、2027年12月31日まで総合所得に合算せず別に計算できます(財政部・税務総局公告2023年第30号)。賞与を12で割った額で下の月額税率表の区分を探し、賞与全体にその税率を掛けて速算控除額を差し引きます。合算と分離は選択でき、分離課税は1年に1回だけ使えます。
- 外国人手当の非課税: 居住者の外国人は、住宅補助・語学研修費・子女教育費などを実費で受け取る場合、非課税を選択できます(2027年12月31日まで、公告2023年第29号)。ただし子女教育・住宅家賃などの専項付加控除とは併用できず、1年の間は変更できません。
- 個人年金の控除: 個人年金(個人養老金)口座への拠出は年12,000元まで所得から差し引けます。口座内の運用益は課税されず、受け取るときに3%の税率で別に課税されます。
| 賞与 ÷ 12 | 税率 | 速算控除額 |
|---|---|---|
| 3,000元以下 | 3% | 0 |
| 3,000超〜12,000 | 10% | 210 |
| 12,000超〜25,000 | 20% | 1,410 |
| 25,000超〜35,000 | 25% | 2,660 |
| 35,000超〜55,000 | 30% | 4,410 |
| 55,000超〜80,000 | 35% | 7,160 |
| 80,000元超 | 45% | 15,160 |
例:賞与36,000元なら36,000 × 3% = 1,080元。36,001元だと10%の区分になり3,600.1 − 210 = 3,390.1元で、1元多くもらうと税金が2,310元増える区分の境目があります。
よくある質問
年収6万元以下なら税金はかかりませんか?
総合所得から基礎控除6万元と五険一金などを引いて残りがなければ税額は0です。ただし労務報酬は支払時に源泉徴収されるため、精算すれば戻ってきます。
賞与は分離課税と合算のどちらが税金が少ないですか?
人によって違います。給与の課税所得が低ければ合算、高ければ分離の方が少なくなることが多いです。年度確定申告の際にアプリで両方を切り替えて比べられます。
確定申告をしないとどうなりますか?
追加納付の対象なのに期限までに行わないと、延滞金(1日0.05%)や罰金が科されることがあり、納税信用の記録にも残ります。還付の対象でも申請しなければ戻りません。
外国人も同じ方法で精算しますか?
中国の居住者に該当すれば同じ方法で精算します。非居住者は所得ごとに源泉徴収され、年度確定申告の対象ではありません。
計算の基準と出典
- 中国政府网 — 国务院关于提高个人所得税有关专项附加扣除标准的通知(国发〔2023〕13号)
- 中国政府网 — 国务院关于印发个人所得税专项附加扣除暂行办法的通知(国发〔2018〕41号)
- 中国政府网 — 财政部 税务总局关于延续实施全年一次性奖金个人所得税政策的公告(2023年第30号)
- 中国政府网 — 财政部 税务总局关于延续实施个人所得税综合所得汇算清缴有关政策的公告(2023年第32号)
- 中国政府网 — 财政部 税务总局关于延续实施外籍个人有关津补贴个人所得税政策的公告(2023年第29号)
- 国家税务总局 — 财政部 税务总局关于在全国范围实施个人养老金个人所得税优惠政策的公告(2024年第21号)
- 国家税务总局