五険一金とは

五険一金は5つの社会保険(五険)と住宅積立金(一金)の総称です。社会保険は「社会保険法」に基づき会社と従業員が共に納める義務保険で、住宅積立金は住宅の購入や賃貸に使う強制貯蓄です。

生育保険が医療保険に統合されてからは「四険一金」とも呼ばれますが、日常的には今も五険一金という言葉がよく使われます。

項目別の会社・個人負担率

個人負担だけで社会保険が約10.5%、住宅積立金が5〜12%なので、基準額の15〜23%程度が毎月引かれます。会社はこれとは別に約30〜40%を負担します。

個人が納めた社会保険料と積立金は個人所得税の「専項控除」になるため、その分税金も減ります。

項目会社負担個人負担備考
養老保険16%8%個人8%は個人口座、会社分は共同基金
医療保険(生育含む)約6〜10%(北京9.8%・生育と高額医療互助1%を含む、上海9%)2%(北京は2%+月3元)都市ごとに異なる
失業保険0.5〜0.8%0.2〜0.5%合計1%(2026年:上海は各0.5%、広州・深圳は会社0.8%・個人0.2%)
労災保険業種別0.2〜1.9%なし事故の発生状況で上下
住宅積立金5〜12%5〜12%(通常は会社と同率)上海の基本積立金は5〜7%

2026年基準の代表的な料率です。医療・失業・労災保険と積立金の料率は都市・業種・会社によって異なり、毎年調整されることがあります。

納付基準額(繳費基数)と上限・下限

保険料は給与そのものではなく「納付基準額」に料率を掛けて計算します。基準額は通常、前年の月平均賃金(入社1年目は初月の賃金)で、省・直轄市の前年平均賃金の60%が下限、300%が上限です。

給与が上限を超えると上限までしか納めず、下限未満なら下限で納めます。そのため高所得者ほど給与に対する実際の負担率は低くなります。

新しい基準額は7月から適用されますが、発表が8月以降になる年が多く、7月分からの差額を後でまとめて精算(補差)することもあります。

個人負担額 = 納付基準額(上限・下限の範囲に調整)× 個人料率 例)上海、基準額20,000元、積立金7% 養老1,600 + 医療400 + 失業100 + 積立金1,400 = 月3,500元

都市適用期間下限(月)上限(月)
北京2026年7月〜2027年6月7,270元36,348元
北京2025年7月〜2026年6月7,162元35,811元
上海2026年7月〜2027年6月7,546元37,731元
上海2025年7月〜2026年6月7,460元37,302元

上海の2026年度の値は、2025年の上海平均賃金・月12,577元の60%と300%です。住宅積立金の基準額下限は社会保険とは別に定めます。

医療保険個人口座の改革と積立金の使い道

2021年の国務院弁公庁の文書(国弁発〔2021〕14号)で「外来共済(門診共済)」が導入されました。在職者の個人口座には本人納付分(基準額の2%前後)だけが入り、会社が納めた医療保険料はすべて共同基金に回ります。その代わり、一般外来の費用も共同基金から一定割合が支払われます。

個人口座の残高は、配偶者・父母・子どもの診療費や薬代の支払いにも使えます(家族共済)。退職者の個人口座には共同基金から定額が入ります。

住宅積立金は会社分・個人分ともに本人口座に積み立てられます。積立金ローンは商業ローンより金利が低く(2026年、初めての住宅・5年超で年2.6%)、家賃の支払い・住宅購入・退職時に引き出せます。

自営業・フリーランスと他都市への移動

外国人の加入と韓中社会保険協定

中国で合法的に就業する外国人も、養老・医療・失業・労災・生育保険に強制加入します(「中国国内で就業する外国人の社会保険加入暫定弁法」)。会社は就業許可証などの就業証明書類(就業証件)を取得した日から30日以内に社会保険登録を行う必要があります。住宅積立金への外国人の加入は都市ごとにルールが異なります。

韓中社会保険協定(2012年10月署名、2013年1月発効)は、韓国の国民年金・雇用保険などと中国の基本養老保険・失業保険を対象に、保険料の二重払いを防ぎます。韓国企業から派遣された人は5年以内(両国が同意すれば最長8年追加)中国の養老・失業保険が免除され、韓国の国民年金を払い続ける現地採用の韓国人も5年以内の免除を受けられます。

医療保険と労災保険は協定の免除対象ではないため、中国で加入します。免除を受けるには韓国の国民年金公団で加入証明書を取得し、中国の社会保険機関に提出します。

受給年齢前に中国を離れる外国人は個人口座をそのまま残し、再び就業したときに通算できます。書面で申請すれば個人口座の残高を一括で受け取ることもできます。

韓国の4大保険との比較

最大の違いは住宅積立金です。会社負担分まで本人口座に積み立てられるため、手取りだけでなく積立金残高まで見ないと実際の報酬はわかりません。

区分中国韓国
年金養老保険:会社16% + 個人8%国民年金:9.5%を労使折半(2026年)
健康医療保険:会社約6〜10% + 個人2%健康保険7.19%を折半 + 長期療養保険
失業失業保険:合計約1%雇用保険:従業員0.9% + 会社負担
労災労災保険:会社のみ労災保険:会社のみ
住宅住宅積立金:会社・個人各5〜12%、本人口座該当する義務制度なし
基準額地域平均賃金の60〜300%国民年金の基準所得月額の上限・下限(毎年7月調整)

よくある質問

試用期間中も五険一金を納めますか?

はい。「社会保険法」は雇用した日から30日以内の社会保険登録を定めており、試用期間も対象です。住宅積立金も都市の規定に従い入社後に納付が始まります。

会社が基準額を下限でしか申告しないとどうなりますか?

基準額は実際の賃金で決めるのが原則です。少なく申告されると養老金や失業保険金など将来の給付が減ります。社会保険や税務のアプリで基準額を確認でき、違っていれば労働監察機関に相談できます。

途中で納付を休むとどうなりますか?

養老保険はそれまでの年数がそのまま残り、再開すると通算されます。医療保険は途切れている間は給付を受けられず、都市によっては再加入後に待機期間があります。

韓国から派遣されましたが、中国の医療保険も納めますか?

はい。協定が免除するのは養老保険と失業保険だけなので、医療・労災保険は中国で加入します。住宅積立金の外国人への適用は都市ごとに異なります。

計算の基準と出典

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